日本新聞協会は7月17日、生成 AI による報道コンテンツ利用をめぐる声明を発表しました。新聞各社の紙面にも掲載されており、業界内ではすこし話題になりました。

日本新聞協会によると

生成AIの事業者が報道コンテンツを無断で利用することが著作権侵害に該当する可能性が高いと指摘しています。報道コンテンツは新聞社や通信社が多大な労力とコストをかけて作成した知的財産であり、無断利用は許容できないと主張しています。

また、生成AIサービスの提供者に対しては、報道コンテンツを利用する場合は著作権者の許諾を得ることを求め、政府に対しては著作権法の改正を含めた法制度の整備を急ぐよう要求しています。

協会は、生成AIの事業者に対し、報道コンテンツの学習に許諾を得るよう求めていますが、状況は改善せず、サービスの拡大が進行しています。検索連動型の生成AIサービスでは、報道コンテンツを無断で用いた上、記事と似た回答が表示されることが多く、これは著作権侵害に当たる可能性が高いとされています。

報道コンテンツは、新聞社や通信社が大量の労力とコストを投じて作り上げた知的財産であり、その利用には許諾と対価が必要です。新聞協会は、報道機関の努力をただ乗り(フリーライド)することは許されるべきではないと主張しています。

検索連動型の生成AIサービスでは、報道機関の記事を不適切に転用・加工し、事実関係に誤りのある回答を生成するケースが見受けられます。そのような回答が生成されれば、ユーザーの不利益となるだけでなく、参照元として表示される報道機関の信用が低下する可能性もあります。

新聞協会は、生成AIサービスを提供する事業者に対し、報道コンテンツを利用する際には著作権者の許諾を得ること、またサービスのリリースは正確性、信頼性を十分に確保した上で行うことを要求しています。政府に対しては、著作権法の改正を含め、「生成AI時代」に見合った法制度の整備を急ぐよう求めています。

報道から思うプラットフォーマーと取材機能をもつメディアの対立

報道機関の努力をただ乗りすることは許されるべきではない、対価が支払われるべき。メディア業界に身を置くものとして、対価は支払われるべきだと思います。

1次情報の取得には費用がかかります。(一方で経費感覚が記者になさすぎるという別の議論がメディア業界にありますが、これは別の機会に)

ゼロクリックサーチに関する調査によると

ゼロクリック検索

  • アメリカでは58.5%のユーザーが検索結果に表示されるリンクをクリックしない
  • EUでは59.7%

Googleによる自社への誘導

  • ・アメリカではクリックの約30%がGoogle所有のプラットフォーム(YouTube、Googleフライト、Googleホテルなど)に誘導

AI Overviewsの影響

  • 検索行動に目に見える変化が生じ、特にモバイル検索が大幅に減少している

https://sparktoro.com/blog/2024-zero-click-search-study-for-every-1000-us-google-searches-only-374-clicks-go-to-the-open-web-in-the-eu-its-360/

現状では自社のGoogle Search Consoleの数値をみても検索によるクリック数に影響はありません。むしろ今はdicoverに取り上げられるかがクリック数を大きく左右しています。

プラットフォーマーと取材機能をもつ1次情報を扱うメディアの対立構造は今後も続くと思われます。

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